2019-01-01から1年間の記事一覧

大乗仏教と平等という概念について

奈良時代の仏教は鎮護国家を目標としていたが、やがて政治と深い関係を持つようになった。その結果、桓武天皇は平城京を捨て都を移している。 平安時代になると仏教の再興を目指して最澄や空海が登場する。 最澄は唐に渡って学んだあと、日本で大乗仏教の戒…

日本と仏教受容

日本に仏教が伝来したのはいつだろうか。確定した年代はないとされている。ともかく、6世紀ごろ、仏教は朝鮮半島の百済から来た渡来人によってもたらされた。 伝来初期、新しい宗教思想を取り入れるかどうかで崇仏派の蘇我氏と排仏派の物延氏が対立した。蘇…

アマルティア・センの講演

アマルティア・セン(1935-)はインド生まれの経済学者として知られている。 彼は不平等をめぐる議論において、単なるモノ=財の分配が問題なのではなく、財を用いて自身が望むことを達成できる能力=ケイパビリティ(潜在能力)こそが問題であると主張した…

憲法と条約の関係

憲法と条約はどちらが優位なのだろうか。 解釈上、条約優位説と憲法優位説の2つの説がある。 条約優位説の根拠は何か。 条約が裁判所の違憲審査の対象になっていないこと、憲法が国際主義的な思想を採用していることが理由として挙げられる。 憲法優位説の根…

有罪率99パーセント強の問題点

日本の刑事裁判の有罪率は99パーセント強と言われている。 検察が有罪だと判断した被疑者が実際に裁判で有罪判決とされているのだから、冤罪もほとんどなく、言うことなしなのだろうか。実際にはそんな単純な話ではない。 「疑わしきは被告人の利益に」とい…

北一輝

北一輝(1883-1937)という人物について、どのような印象を持つだろうか。 彼の著作『日本改造法案大綱』は二・二六事件の際に青年将校たちにバイブル視された。そのことが理由となり、銃殺刑を受けることとなった。 二・二六事件は陸軍の皇道派が起こした出…

美濃部達吉

「公然自由主義の撲滅を叫んで怪しまざるが如き、実に憲政破壊の風潮の著しき現れと存じ、小生微力にしてもとよりこの風潮に対抗して、これを逆襲するだけの力あるものにこれなく候えども、憲法の研究を一生の仕事と致す一人として、空しくこの風潮に屈服し…